はじめてのエシカルQ&A
食品のごみ処理にかかる税金は、およそ年間◯億円(推測値)だ
Q 食品のごみ処理にかかる税金は、およそ年間◯億円(推測値)だ
A
1. 80
2. 800
3. 8,000
答えは3です!
環境省が2020年3月に発表したデータによると、ごみ処理にかかる経費は2兆円を超えています(2兆910億円)。
環境省 一般廃棄物処理事業実態調査の結果(平成30年度)
食品のリサイクル事業をおこなっている「日本フードエコロジーセンター」の高橋巧一社長は、この2兆円という費用のうち、およそ40%(8,000億円)は食べ物に関するごみではないかと推測しています。というのも、全国の自治体のごみのうち、およそ40%は生ごみ(食べ物ごみ)だからです。
もちろん、この費用は、ごみを焼却処分する費用だけでなく、ごみ処理施設の維持費や建設費なども含まれているので、厳密には違うかもしれません。でも、高橋さんの主張は「食べ物をごみにしない」こと。食べもののごみというのは水分が80%を占め、その分だけとっても重くて燃えにくく、焼却処分するには膨大なエネルギーやコストを使います。それだけ、環境に大きな負荷をかけてしまうということなのです。
家庭の食品ロスは、測るだけでなんと20%も減るという結果が出ています(平成29年度 徳島県における食品ロス削減に資する取組の実態調査による)。
しかも、計量に加えて、食品ロス削減の取組を並行して行うことで、食品ロスは40%も減少するという結果も得られています。
これは、私自身も実感していることです。自治体の助成制度を使って家庭用生ごみ処理機を半額で購入し、2017年から合計829回使ったところ、合計で202kg以上もの生ごみを減らすことができたのです。一世帯で、大人の体重3〜4人分くらいある重たいごみを減らせたのです。
しかも、乾燥させた生ごみはごみとして出さず、マンションのベランダで作っているコンポスト(堆肥)に入れているので、ごみは、実際にはもっと減らすことができています。毎回、ごみ処理機にかける前と後の重量を測っています。測ることで意識にのぼり、減らそうという行動につながります。
ヨーロッパ諸国へ取材に行ったとき、スウェーデンやイタリアなどで、「生ごみ」と「燃やすごみ」は一緒にされることなく、分別収集されている風景を目にしました。「organic(オーガニック)」というくくりで、食品ごみや剪定した枝や落ち葉などもここに集められます。スウェーデンでは、住民が生ごみを入れられるポストが街にあります。
スウェーデン第3の都市、マルメ市は、コーヒーのかすやバナナの皮など、食べられない部分(不可食部)を使ったバイオマスガスを使って、街中でバスが走っていました。
食料をエネルギーにリサイクル「バイオマスエネルギー」は、人間が食べられる農産物(さとうきび、とうもろこしなど)を使うと、食料が減り、農産物の価格が上昇してしまうデメリットがあります。でも、食べられない部分を活用するのはいいことですね。マルメ市は、2020年12月末までで、市内で使うエネルギーを98%、自然エネルギーに転換したそうです。
韓国でも、生ごみの分別収集がすでに進んでいます。従量課金制によって減らす努力も進んでいますし、飼料化や堆肥化がおこなわれています。中国では、2025年までに、生ごみを分別収集するシステムを完備することを目指しているそうです。
日本国内でも、数十の自治体は、生ごみを分別回収しています。2020年11月、福井県池田町へ講演に伺いました。
池田町では、町民から集めた食品ごみと、牛のふん、もみがらを混ぜて、有機の肥料「土魂壌(どこんじょう)」を作って商品化していました。「土魂壌」で育てた有機のお米は美味しいと評判です。
「分ければ資源、捨てればごみ」という言葉もあります。一見、ごみに見えるようなものも、実は資源なのではないでしょうか。ごみにして捨てずに資源として使うことで、ごみ処理に使っている費用はもっとずっと減らすことができ、それを福祉や教育など有用なものに活用できるのではないかと考えます。
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