はじめてのエシカルQ&A
日本の食品ロスのうち、○%が家庭から出ている
Q 日本の食品ロスのうち、○%が家庭から出ている
A
1. 28
2. 37
3. 46
答えは3です!
長野県で開催された食育の全国大会で、○×クイズを出しました。
「日本の食品ロスのうち、8割以上は企業が出している」
80〜90%の人が「○」と答えました。が、答えは「×」です。
日本で捨てられる食べもののうち、実に、半分近くが、家庭から出されているのです(2017年度、農林水産省推計、年間612万トンのうち284万トンが家庭由来、328万トンが事業系由来)。
家庭から出るものの要因には、「過剰除去」といって、野菜の皮を厚くむき過ぎるなど、食べられるところまで捨ててしまうことがあります。
また「直接廃棄」といって、冷蔵庫や食品庫に保存していたものをそのまま捨ててしまう場合もあります。
「おいしさのめやす」にすぎない「賞味期限」がちょっと過ぎただけで捨てる場合もあります。
子どもたちが大きくなって、それぞれ独立し、家庭には夫婦だけが残ったのに、前と同じ量を作って食べきれないで捨てる、子どもたちがいつ帰ってきても食べるものがあるように冷蔵庫に念のために詰めておき、結局は古くなって食べないで捨てた、など、家庭の中で捨てる要因はさまざまです。
2020年のコロナ禍で、日本だけでなく、イギリスやイタリア、オーストラリアやアイルランド、カナダなどで、家庭で食品を捨てたと答えた人が減る傾向が見られました。これは、買い物や外出が制限されたため、「まず家にある食品をチェックする」「あるもので作る」「買い物リストを作る」という行動が生まれたためです。
日本の九州大学が2020年7月に行った調査によれば、コロナ禍の影響が低かった地域より、高かった地域の方が、家庭での食品管理や食品ロスに気を遣う傾向が見られました。
このように、家庭の食品ロスは、「買い過ぎない」「まず家にある食品をチェック」「買い物リストを作って、ないものだけ買う」「食材の切り方や保存方法を工夫する」などで少なくすることができます。
では、コンビニやスーパーで発生する食品ロスは、私たち消費者には全く関係がないのでしょうか?
牛乳やヨーグルトなど、賞味期限の短いもの(低温殺菌牛乳は、より短い消費期限表示)を買うとき、手前に置いてある、日付の近づいたものから選んでいますか?それとも、できる限り新しいものを取ろうとして、奥に手を伸ばして引っ張り出していますか?
これまで私は2,411人の人に、リアルタイムアンケートシステム「レスポン(respon)」を使って「買い物のとき、新しい日付のものを取ろうとして、奥に手を伸ばして取ったことがありますか?」と聞いてきました。そのうち、88%の人が「ある」と答えました。

お店の人は、「先入れ先出し」といって、期限表示が近づいたものを手前に置き、順番にはけて(買われて)いくよう心がけています。でも、奥から新しいのを引っ張り出すような買い方をされたら、手前が残ってしまいます。それは、お店がコストを払って処分するだけではありません。私たちが市区町村に納めた税金も使って、家庭ごみと一緒に焼却処分されるのです。東京都世田谷区は、こうした事業系一般廃棄物の処理コストが1kgあたり56円であると公表しています(2020年4月発表)。飲食店でお客が食べ残したものも「事業系一般廃棄物」です。
こうした税金での処理を少しでも減らすことができれば、そのお金を、福祉や教育などにまわすことができます。京都市は、2000年から20年かけて、ごみの量をほぼ半分に減らしました。この例から、ゼロにするのは難しくても、半分に減らすことならできると思えるのではないでしょうか。
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