はじめてのエシカルQ&A

数字でわかる食品ロス
スーパーに並ぶ商品には「製造日から賞味期限までの○分の1以内を納入する」という暗黙のルールがある

Q スーパーに並ぶ商品には「製造日から賞味期限までの○分の1以内を納入する」という暗黙のルールがある

A

1. 3

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答えは1です!

コンビニなどで、大好きなカツ丼が1つだけ残っていた。喜んでレジに持っていったら「これは売ることができません」と言われた。期限表示を見ると、まだ消費期限は切れていない。なんで売ってくれないの? ——そんな経験をしたこと、あるでしょうか。

実は、賞味期限や消費期限の手前に「販売期限」というものがあり、それが切れると販売できないルールがあるからです。

「販売期限」だけではありません。その手前には「納品期限」もあります。これを食品業界では3分の1ルール」と呼んでいます。

食品業界の3分の1ルールとは、製造日から賞味期限までの期間を3等分し、最初の3分の1が、メーカーから小売店に納品する「納品期限」、次の3分の1が、小売店で販売できる「販売期限」となっています。
こんなに短い納品期限は日本の特徴で、このルールで返品される金額は年間809億円と言われます。納品期限は、アメリカは2分の1、フランスは3分の2と長く設定されています。日本でも、菓子と飲料に関しては、アメリカ並みにしましょうという動きが2014年ごろから始まっています。

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3分の1ルールは法律ではなく、食品業界のルール(商慣習)に過ぎません。

誰が、いつ、作ったのでしょう?

一説には、1990年代、全国展開する大手スーパーが設定し、他の小売も追随したと言われています(201211月、日経MJ=日経流通新聞)。

なぜ、このようなルールが決まったのでしょうか。

スーパーは、できる限り長く賞味期限が残っているものを売りたいから。

賞味期限が切れたものを商品棚に並べておくと、お客さんからクレームが来てしまうから、切れる前に早めに撤去する。賞味期限や消費期限ぎりぎりのものを売ると、お客さんが家に持って帰って置いておいて、いざ食べようとするときに期限が切れてしまっていた……。そういうことをなくしたいから、ということでしょうか。

実際、大手コンビニ本部の方に聞いてみると、おにぎりやサンドウィッチ、弁当などは、消費期限が切れる13時間手前で販売期限が切れるそうです。「なぜギリギリまで売らないのですか?」と聞いたところ、「お客さんが家に持って帰って食べる時間を考えて」とのことでした。

大手コンビニで、店員さんが商品のバーコードにあてる機械を持って店内を歩いています。ピッと商品にあててみると、「賞味期限が○月○日以前のものは廃棄」と、賞味期限が切れていないにもかかわらず、「捨てなさい」という指示が出てきます。

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普段でも「もったいない!」と思いますよね。なおさらもったいないと思ったのが、2018年夏、西日本豪雨のときでした。コンビニに食品を運ぶトラックは、道路が寸断されて思うように進めません。販売期限の1時間前に店に着きました。店に並べますが、売る時間はほとんどありません。仕方なく、全部廃棄したそうです。取材したコンビニのオーナーさんは「大雨で避難して食べ物に困っている人にあげたい」と、せつなそうに話しました。

メーカーは、自分たちの商品を売ってくれる小売の課すルールに従わなければ、自分の会社の商品を売ることができません。では、小売は誰を見ているでしょう?

それは「お客様」、わたしたち消費者です。

消費期限表示のものは、おおむね5日以内の日持ちのものにつけられるから、ギリギリまで売るのは難しいかもしれません。でも賞味期限は「おいしさのめやす」です。わたしたちが「賞味期限ギリギリまで売ってください」とみんなで言えば、小売の人も耳を傾けるのではないでしょうか。イギリスでは、市民の声が大手スーパーの態度を変え、捨てられる食べ物を減らしています。社会やルールを変えるのは、私たち一人ひとりの市民の力なのです。

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プロフィール
井出留美(いで・るみ)
食品ロス問題ジャーナリスト。近著『食品ロスをなくしたら、1ヶ月5000円の得!』(マガジンハウス)『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬舎新書、4刷)。第二回食生活ジャーナリスト大賞(食文化部門)受賞。Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018受賞
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