はじめてのエシカルQ&A

数字でわかる食品ロス
家庭内の食べ残しの○%は「量が多い」から

Q 家庭内の食べ残しの○%は「量が多い」から

A

1. 70%

2. 50%

3. 40%

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答えは1です!

農林水産省の調査によれば、食卓に出された料理を食べ残した理由で最も多かったのが、「料理の量が多かった」(71.7%)でした。(農林水産省「平成21年度食品ロス統計調査」)

外食だと、出てくる量がわからない、頼んでみたら思っていたより量が多過ぎた、ということはあります。でも、家庭なら、どのくらい食べられるか、事前に家族に伝えて、量を調整することはできますね。

料理を多めに作った場合は、いっぺんにたくさん食卓に出さないで、密閉容器に入れて冷蔵・冷凍保存し、次の一食分にまわすことができます。料理の時間も食費も節約できます。

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あなたは体調が悪いとき、学校給食を残しますか?それとも、無理してでも食べきりますか?

小学校56年生132名を対象にした調査で「体調が悪いときに学校給食をどうしますか?」と聞いたところ、9割近くの児童が「がんばって全部食べる」と答えました。(『学校保健研究』2012, 53: 490-492

この調査を担当した赤松利恵教授(お茶の水女子大学)は、「自分の体調をちゃんとわかって、今日は少なめにしてくださいと言うことも必要」「このまま放っておくと、もったいないからと無理をして食べて、将来のメタボリックシンドロームになってしまう。自分自身の体の状態を考えて食べる量を調整するスキルも、小学校高学年ぐらいになってくると必要です」と語っています。

*メタボリックシンドローム:内臓脂肪が増えて、生活習慣病などになりやすくなること

確かに、食べきれば、食品ロスは出ないかもしれません。でも、無理して食べたおかげで、よけいに体調が悪くなっては、もとも子もありません。

赤松先生は、「もったいない」ことだけを強調しても、子どもが学校給食で苦手な食べ物を食べ残してしまう行動は変わらず、食べ残しは減らない、と説明します。

赤松先生いわく、子どもたちが苦手な食べ物を食べられるようになるには2つポイントがあります。

1つは、自信を高めること。どんな小さいことでもいいから、成功体験を持つこと。

もう1つは、重要性を高めること。残さずに食べると、自分にとって「いいこと」があると知ること。たとえば、体が大きくなる、風邪をひかなくなる、作ってくれた人が喜んでくれる、など。
この「自信を高める」ことと、「重要性を高める」ことの2つに着目し、赤松先生が監修し、赤松先生の栄養教育学研究室で制作されたのが、食育紙芝居「にがてなたべものにチャレンジ!」(健学社)です。

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『にがてなたべものにチャレンジ!!』(健学社)(井出留美撮影)

主人公のお茶太郎くんは、学校給食で苦手な食べ物があります。最初の日は、鼻をつまんで食べました。次の日は、ご飯と一緒に食べました。そうやって、工夫していくことで、最後には、なにもしなくても苦手な食べ物が食べられるようになっていきます。

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お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系の赤松利恵教授(井出留美撮影)

赤松先生は、社会的認知理論を提唱した、バンデューラ(Bandura)先生の理論について紹介しました。子どもの自信を高める教育には、いくつかポイントがあります。
1つには、成功体験を持つこと。苦手な食べものが食べられた、というのも成功体験です。

2つめが、モデリングという手法。すでにやっている人を観察したり、真似をしたりすることです。

3つめが、言語的説得。子どもの周りの人が「できるよ。絶対できる。大丈夫」と自己暗示をかけること。


小さなことでも成功体験を持ち、行動をよりよいものに変えていくこと。
生きていれば、思い通りにいかないことの方が多いものです。そんなとき、相手の立場を思いやりながら、上手に主張できる人になれるといいですね。

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プロフィール
井出留美(いで・るみ)
食品ロス問題ジャーナリスト。2016年の国会議員向け講演会をきっかけに食品ロス削減推進法の成立に貢献。『賞味期限のウソ』(5刷)ほか著書多数。第二回食生活ジャーナリスト大賞(食文化部門)/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。
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