はじめてのエシカルQ&A

知っておきたい海のいま
下のうち、絶滅危惧種でないマグロはどれでしょう?(2019年現在)

Q下のうち、絶滅危惧種でないマグロはどれでしょう?(2019年現在)

1. 近海本マグロ(太平洋クロマグロ)
2. インドマグロ(ミナミマグロ)
3. ビンチョウマグロ(ビンナガ)

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答えは「③ ビンチョウマグロ」です!

日本人が大好きな魚、マグロ。昔から鮨や和食の華として人気の高いマグロには、さまざまな種類があります。成魚は約100㎏、黄色いヒレが美しくあっさりとした身質のキハダマグロ、40㎏と小ぶりで長い胸ビレを持ち、白っぽく柔らかな身を持つビンチョウマグロ、ぱっちり大きな目がかわいらしく、華やかな赤色の身と透明感のある味わいが人気のメバチマグロ、身のどっしり落ち着いた色合いと、凝縮感のある風味にファンが多い南半球の高級魚、インドマグロ。

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そして、マグロといえば、なんといっても本マグロ(クロマグロ)を思い浮かべる方が多いでしょう。最大400㎏にも成長するマグロの王様、「黒いダイヤモンド」として有名な本マグロには、さらに2種類があります。地中海やメキシコ湾で生まれ、アメリカ東岸からヨーロッパの間の大西洋を行き来しながら成長する大西洋クロマグロと、日本近海(鳥取県境港沖と南西諸島付近、三陸沖の3カ所)で産卵し、太平洋を周回して大きくなる太平洋クロマグロ。これらは骨格や大きさにわずかな違いがあり、互いに亜種の関係にあるとされています。

「大間の一本釣り」をはじめ、最高級とされる近海本マグロはこの後者。脂の甘みと鉄分がもたらす味わい深さが絶妙なバランスを生み、わずかな酸味がニュアンスを左右する近海もののおいしさは、一本釣り漁やはえ縄漁で船に揚げた後、一本ずつていねいに迅速に処理をして「味を仕上げる」、腕利きの漁師さん達が支えてきました。fish_2_5.jpg

太平洋クロマグロの親魚資源量(19522014年)水産庁ウェブサイトより
http://kokushi.fra.go.jp/H28/H28_04S.pdf

こうして人気メンバーそろい踏みのそのマグロですが、悲しいことに近年は、多くが絶滅危惧種となっています。主に日本市場を目指し、高値で取引されることから先を競って獲られた結果、日本の海はもちろん世界中で乱獲が進んだためです。これまでに二種類のクロマグロ、ミナミマグロ、メバチマグロが国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種として登録済(※)。なかでも特に状況が深刻とされる太平洋クロマグロは、漁がなかった時代に比べたった3.3%の個体数しか残っていないという衝撃的な調査結果が発表されました(2018年)。さらにキハダマグロも危険水域とみなされていて、現在余裕ある数が残っているとされるのは、ビンチョウマグロだけなのです。

※2010年前後の登録後、大西洋クロマグロとミナミマグロについては国際委員会による厳しい漁獲規制がなされた結果、個体数が大きく増加傾向にある。

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プロフィール
佐々木ひろこ(ささき・ひろこ)
食文化やレストランをメインフィールドに雑誌等に寄稿するフードジャーナリスト。2017年にChefs for the Blueを創設し、後に社団法人化。代表理事として東京のトップシェフ約30名とともに海洋資源の保全に向けた啓蒙活動に取り組み、様々なイベントを実施している。
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