2020年4月29日

発酵の力でリフレッシュ 冷製サワースープ  【飯尾醸造 第2回】

スープ作家 有賀薫

家にこもって鬱々とした気分のときは、発酵調味料の力を借りましょう。飯尾醸造の富士酢を使った二品目は、疲れた日におすすめのリフレッシュスープ。100年以上棲みついた家付きの酢酸菌で醸した富士酢は、酸っぱいだけでなく、まろやかなコクがあります。甘いミニトマトのスープに少し足すだけで、爽やかな風味が広がる心地よい味わい。やさしい酸味と旨味で元気になります!


文・有賀薫(スープ作家) 撮影・有賀薫、柿本礼子 編集・神吉佳奈子

自然の酸味と旨味で
元気になる

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飯尾醸造では、主力商品である「純米富士酢」、「富士酢プレミアム」のほかにも、さまざまな酢や合わせ酢を作っています。

中でも、おすすめなのが「富士ピクル酢」。名前の通りピクルスを漬けるために調味されたお酢です。きゅうりやにんじん、セロリなどの生野菜を漬けておくだけで、おいしいピクルスができるというもの。飯尾醸造のヒット商品のひとつです。

このピクルスは、「純米富士酢」に砂糖や塩、そしてドライトマトや香辛料が配合されています。ローリエの香りがほんのりしますが、それほどクセが強くなく、甘酢としてピクルスを漬ける以外にも使えそうです。たとえばオリーブオイルを加えて混ぜれば、とてもおいしいフレンチドレッシングができます。

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仕込み蔵で櫂入れを体験する有賀さん。米麹、酵母、蒸し米、水を仕込み、約30日間の発酵期間を経て、富士酢のもろみ(酒)を造る。

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もろみは酢蔵へ運ばれ、水、種酢を加えてさらに発酵。繁殖力が旺盛になってくると表面に美しい膜が張る。100日ほど酢酸発酵したあと熟成。約2年の月日をかけて富士酢のコクや旨味が生まれる。(写真・山本謙治)

この「富士ピクル酢」をスープに使ってみたいと思いました。それも前回紹介した沢煮椀のように隠し味ではなく、酸味をぐっと立たせたスープを作ってみます。温かいままでもおいしいのですが、冷蔵庫で冷やすと、これからの季節にぴったりの冷製スープになります。

発酵食品の酢はもちろん体にいいのですが、それ以上に、酸味を口にすると、元気な気分になるという効果があるように思います。ずっと家にこもって鬱々とした気分を吹き飛ばすような、爽やかなスープです!

疲れた日におすすめ
トマトと鶏肉の冷製サワースープ

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まろやかな酸味で気分爽快。ちょっと疲れ日におすすめの一皿。鶏肉を使わずミニトマトだけで作ると、酸味のキュッと効いた爽やかなサラダ風に。

▼材料(2人分)
ミニトマト1パック(150g)
鶏もも肉(皮なし)50g 
富士ピクル酢 大さじ11/2
塩 適量
青じそ(あれば) 4~5枚

▼作り方

1.トマトと鶏肉を切る

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ミニトマトはへたをとって半割りに。鶏肉は一口大に薄く切ります。

2.トマトを加熱する

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トマトを鍋に入れ、塩ひとつまみをふり、水大さじ1を加えてふたをして1~2分、中火で加熱します。ふたを開け、ジュクジュク水が出ていたら、ふたを開けたまま、あと3~4分煮ていきます。

3.鶏肉を加えて煮て、調味する

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ミニトマトの水分が減ってきたら、水400㎖を入れて煮立てます。鶏肉と塩小さじ1/3ほど加えて、鶏肉に火が通るまで2~3分煮たら、最後にピクル酢を加えます。味を見て塩で調節して、粗熱を取り、冷蔵庫で冷やます。お好みで青じそを刻んでのせてください。

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次回から、5代目飯尾彰浩さんに案内いただき、静置発酵という伝統的な酢造りを追ったルポをご紹介します。

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飯尾醸造
京都府宮津市小田宿野373
電話 0772-25-0015(8:00~17:00)
FAX 0772-25-1414
https://www.iio-jozo.co.jp/


商品はオンラインで取り寄せ可。月曜から土曜、蔵見学受け付けあり。見学時間は9:00~11:00、13:15~16:00 詳細はホームページまで。お申し込みは上記まで。

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プロフィール
有賀薫(ありが・かおる)
受験生だった息子の朝食にスープを作りはじめたことをきっかけに、365日毎朝のスープをSNSに投稿。旬の野菜を使ったシンプルなレシピが反響を呼び、書籍化に。「スープ・レッスン」(プレジデント社)に続いて、『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(分響社)などのレシピ本を手掛け、ライター業から転身。スープ作家として、実験イベント「スープ・ラボ」のほか、テレビや雑誌などで活躍の場を広げている。
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