2020年2月27日

有機的に育てた車海老の香りを味わう 簡単ビスク【ファームスズキ 第5回(車海老レシピ編)】

スープ作家 有賀薫

池の土づくりからはじまる車海老の養殖。わずか1cmの稚海老から育てあげた車海老は、頭から尻尾まで、すみずみに栄養は行き渡っています。頭や殻を捨てるなんてもったいない。だから全部まるごと食べる海老の簡単ビスク。海老の身は、加熱しすぎると硬くなるので、さっとボイルするぐらいの半生の状態で仕上げます。

文・有賀薫(スープ作家) 撮影・柿本礼子 編集・神吉佳奈子

海老は加熱すると
旨味が増す

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こんなに綺麗な車海老を見たことがありません。光り輝いています。

1㎡に7尾から8尾。ゆったりしたスペースで育った車海老はまさに「健康」という言葉が似つかわしい風貌です。15㎝ほどの大きなサイズ、ぴーんと伸びた背中の縞模様はくっきりしています。ボウルの水に放つと、大きく跳ねてシンクの中に飛び出しました。

もちろん、生きたまま食べられます。殻をむいて生で食べてみると、強い旨味とほんのり感じられる甘み。跳ね返す弾力があります。海老は加熱すると風味がさらに出てくるので、シンプルなスープでも、生とは別の魅力が引き出せそうです。

ビスクは、本来海老の殻を長時間炒めるか、オーブンで焼いて香りを出すのですが、ここは簡易ビスクということで、加熱時間は短めに。野菜もトマト、たまねぎ、にんにくとシンプルにいきます。水を加えて殻や味噌からうまみが出たら、ざるで漉して、味を調整します。

土の力がみなぎる
車海老のビスク

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火が軽く通って甘さの深くなった海老に、香りのよい海老とトマトのスープが絡んで、間違いのないおいしさ。体に馴染むような軽やかな海老の旨味。牡蠣と同じく余韻がずーっと残るのが印象的。

材料(2人分)
車海老 7~8尾
トマト水煮缶 1缶
たまねぎ(粗いみじん切り) 1/2個分
にんにく(みじん切り) 1片
オリーブオイル 大さじ2
塩・胡椒 適量
レモン薄切り 少々
イタリアンパセリ(刻む) 少々

作り方

1.海老の頭をとる

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車海老は洗って頭を取り、尻尾はつけたまま殻をむき、背わたをとります。尻尾のところは、一節分殻を残しておくと、尻尾がとれにくく扱いやすいです。頭と殻は、ペーパーなどで水気をおさえておきます。身だけは具として別に調理するので、別にしておきましょう。

2.海老の頭と野菜を炒める

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鍋にみじん切りにしたにんにくと、たっぷりめのオリーブオイルを入れて弱火で香りを移します。粗くみじん切りしたたまねぎも加えて加熱し、全体がしんなりとしてきたら、トマト缶も加えて水分が飛ぶまで煮詰めます。海老の頭と殻を加えてさらに炒め続けます。海老の色が変わってしっかりと火が通ったところで水をひたひたに加え、15分ほど煮出します。

3.海老の旨味を絞り出す

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海老の頭や殻ごとシノワ(ザルでもOK)で濃します。海老味噌なども絞り出すつもりで、ぎゅうっと押さえつけて。しっかり漉したらスープだけを鍋に戻し、塩、胡椒で味を調節します。

4.海老を湯通しする

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鍋に湯を沸かして海老の身をさっとゆがきます。さっとゆでた海老は刻んでスープに浮かべたり、皿に別盛りしてスープをディップしたりしても。いずれにしても火を通しすぎないことが肝心です。お好みで、レモンをスープや海老に絞って食べてください。

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夕日さす養殖池のほとりで、鈴木さんと記念撮影。ファームスズキがめざす、エシカルな牡蠣と海老のお話、ありがとうございました!

PC192038.jpgファームスズキ
広島県豊田郡大崎上島町東野垂水37-2
https://www.farmsuzuki.jp/

オンラインストアで取り寄せ可。活牡蠣の販売は3月末、活車海老は2月末まで。シーズンオフは、最先端の冷凍技術による瞬間凍結が一年中購入できる。「クレールオイスター(塩田熟成牡蠣)」12個4600円~、大粒12個4800円~。「塩田育ちの活車海老」350g(14~19尾)5500円~。いずれも内税・送料別。2019年、竹原港に併設された「たけはら海の駅」に直営のレストランをオープン。

FARM SUZUKI BAYSIDE KITCHEN TAKEHARA PORT
広島県竹原市港町4-2-24
たけはら海の駅 3階
お問い合わせ:info@farmsuzuki.jp
営業時間 : 11:00〜15:00 (L.O.14:30)※夜は予約制で10名から。1階に販売コーナーあり。
定休日: 水曜日・第3火曜日  不定休あり

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プロフィール
有賀薫(ありが・かおる)
受験生だった息子の朝食にスープを作りはじめたことをきっかけに、365日毎朝のスープをSNSに投稿。旬の野菜を使ったシンプルなレシピが反響を呼び、書籍化に。「スープ・レッスン」(プレジデント社)に続いて、『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(分響社)などのレシピ本を手掛け、ライター業から転身。スープ作家として、実験イベント「スープ・ラボ」のほか、テレビや雑誌などで活躍の場を広げている。
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