2020年2月24日

エシカルとはなにか、について考える時、多くの人が彼の意見に耳を傾ける。イギリスで1980年代から続くethical consumerの中心人物・ロブ・ハリスンのこと。

「エシカルはおいしい」の目玉コンテンツとして、スープ作家有賀薫さんの連載企画を...

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「エシカルはおいしい」の目玉コンテンツとして、スープ作家有賀薫さんの連載企画を多くの人に読んでいただいているが、実はもうひとつ目玉といえる記事がある。それが、イギリスのロブ・ハリスン氏による連載「ロブからの手紙」だ。確認はしていないけど、ロブの連載は日本では初めてとなるだろう。

倫理的消費(Ethical Consumerism)という言葉の発端は、1989年にイギリスで、そのものズバリのタイトルである「ethical consumer」というミニコミ誌が生まれたことに端を発する。マンチェスターに本拠を置くethical consumer誌は、大学の仲間達が設立したもので、その中心人物こそがロブである。

cap000078

ethical consumerは倫理的な商品やサービスを購入したい消費者に対するガイドブックとして機能し、さまざまな企業・商品・サービスを一定の基準に基づき評価しランキングを発表する誌面だ。現在は電子書籍としても販売されており、号ごとの購入もできるようになっている。

例えば上の号は、「フードチェーンの頂点?」と称した、スーパーマーケットのエシカル度ランキングを特集した号だ。

20200107cap000081

中身が詳細にみえるとよくないのでこれくらいの解像度にしておくけれども、左ページにはイギリスの小売業者(スーパーマーケット)20社が、エシカル度によってランキングされている。ちなみに1位はマークス&スペンサー、2位がCo-opだ。

このランキングは、環境・人権・動物・政治・サステナビリティといったカテゴリに分けられた倫理的問題を、誌面が独自に構築したEthic Scoreという採点システムで評価を行い、点数順のランキングを作成して公表するものだ。

こうしたランキングを、さまざまな商品またはサービスに対して制作し、公開しているのである。彼らのWebを訪れると、その厚みのあるアーカイブに驚かされる。

20200107cap000082
https://www.ethicalconsumer.org/

たとえば上に並んでいるさまざまなカテゴリの中でFood&Drinkを選ぶ。すると出てくるさまざまな商品ジャンル、すべて彼らは調査をしている。ここでコーヒーを選んでみよう。

https://www.ethicalconsumer.org/food-drink/shopping-guide/coffee-and-coffee-beans

どんなものを買うべきで、どんなものを買うべきでないのかという基準が提示され、ページをスクロールしていくと、Score tableと表示された部分にさしかかる。これがEthicScoreで採点されたランキングだ。

面白いのは、エシックスコアの採点カテゴリ(動物、環境、人、政策、持続可能性)のなかで、なにを重視するかということを選べる仕組みになっていることだ。このスコアテーブルの下に「What is most important to you?」と書かれたチェックボックスがある。ここで例えば環境(Environment)をチェックすると、スコアがうにょーっと動き、他の問題よりも環境関連の問題を重視したスコアに組み替えてくれる。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

もちろん一番スゴいのは、この仕組みを実現するために彼らが行っている調査そのものである。彼らはいったいどんなふうにこのethical consumerを運営しているのか。僕は2014年と2015年に、マンチェスターのethical consumerオフィスを訪ねた。上の写真の建物は、マンチェスター市公営の、NPOなどが優先的に借りることができるオフィス向け施設だ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

はじめて会ったロブ・ハリソンの印象はというと、気取らず優しい、ホスピタリティに溢れた人物というものだ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

この施設一階に入っているパブレストラン「Kim By The SEA」でランチをとりながら話をしたのだが、この店のフィッシュカレーがいまも思い出してしまうほどに旨かった(笑)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

その後、倫理的消費に関するセミナーで日本に来日するとき、わざわざ主催者さんに「やまけんにも連絡しといて」と言ってくれ、繋がった!

2020010718

せっかくなのでこの滞在中のオフの日、拙宅ですき焼きでおもてなしした次第。

2020010719

とまあ、こんないきさつがあって、「エシカルはおいしい」の立ち上げのため、ロブに連載を書いて欲しいんだとお願いをしたら、「もちろんいいよ!」と快諾してくれたのである。

そういうわけで、ロブがEthical Consumerを通じてどんな倫理的消費の立ち上げに関わってきたのか。これからどんどん掘り下げていきたいと思うが、まずはイギリスにおいてエシカルというのがどのように捉えられているのか、を第1回・第2回で書いてもらっている。短いのですぐに読めると思うので、ぜひご覧いただきたい。

RobHarrison_picture

■ロブからの手紙 第1回 "エシカル"って何だろう? 
http://bit.ly/36wZ654

■ロブからの手紙 大2回 何をすれば「エシカル」?
http://bit.ly/2QtmAT2

※本サイトに掲載の文章の部分的な引用を希望される場合は、サイト名・記事タイトル・著者を明記の上でご利用ください。また引用の範囲を超える文章の転載・写真の二次利用については編集部の許諾が必要です。

最新記事

人気記事