2019年11月30日

健やかな土で育った じゃがいもを食べるスープ 【久松農園 第3回】

スープ作家 有賀薫

有機だからではなく、旬の野菜だからおいしい。
久松農園の野菜は、舌だけでなく、香りや食感も
五感で感じる味わいです。
だから、じゃがいもは丸ごとそのまま。
「自然のものを、自然のままに」
久松さんが唱える、野菜の本当のおいしさが味わえます。


文・有賀薫 スープ作家 撮影・山本謙治 編集・神吉佳奈子

【久松農園 第2回はこちら】

品種選びや収穫適期の
ヒントは料理人から

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料理人から依頼があると久松さん自身が料理店へ出向き、コミュニケーションをとったうえで取引をはじめる。中には東京から毎月畑に通う料理人もいるという。

「スープを作るなら、ねぎの根っこも入れるとおいしい」。そんな話をしながら、ねぎ畑にやってきました。
スーパーで買うときにはカットされていることが多い根の部分。伸びた根をちぎって口に入れてみると、鮮烈なネギの辛味と旨味を感じます。

「もっとスープに合うのはこれ」と、畑からリーキを引き抜いてくれました。長ネギよりも太く、加熱した時の旨味が特長のリーキは、フレンチには欠かせない野菜です。

久松さんは、こうやって料理人とのコミュニケーションを密にしています。畑を訪ねる料理人から多くの気づきをもらうと言います。久松さんの野菜が、多くのレストランで使われているのも、味を追求する料理人たちに久松さんの取り組みが理解されているからなのです。

掘りたてのじゃがいもの
"香り"を味わうスープに


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ほくほく感はじゃがいものおいしさのひとつだが、キタアカリは、クリーミーな瑞々しさも備えている品種。

久松農園の掘りたてのじゃがいもをふかして塩を振って食べたら「うまい!」と思わず声を上げてしまうおいしさでした。このほくほくしたおいしさをそのままスープにしたい。思いついたのが、蒸して、手で割って、鰹だしをかけるだけ、というシンプルな方法です。

じゃがいもは、思いのほか癖のある野菜です。鮮烈なじゃがいもの香りや味わいは簡単には消えない。だから、合わせるのは昆布だしではなく、強さのある鰹だしです。

グルタミン酸の含まれたじゃがいもと、イノシン酸の含まれたかつおだしの組み合わせは、相乗効果でさらにおいしくなるはずです。

熱々の鰹だしかけて
じゃがいものお茶漬け風


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大きく割ることで、じゃがいもをごろっと一個食べる満足感と、鰹だしを吸ったやさしいじゃがいもの味わい、両方を感じられるスープに。

▼材料(2人分)
じゃがいも(キタアカリ)2個
かつおぶし 8g前後(鰹節パックで可)
塩 適量

▼作り方
1)じゃがいもを蒸す

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じゃがいもは皮をたわしで洗い蒸しますが、私はル・クルーゼ鍋にじゃがいもを入れ、半分ぐらい水を加えて火にかけ、蒸し煮状態にします。中まで柔らかくしたあと、水を切ってさらに火にかけ、じゃがいもの水分を軽く飛ばします。この最後の1工程で、じゃがいもが水っぽくならず、ほくほくした食感が残ります。

2)蒸したてを二つに割る。

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熱々のうちにキッチンペーパーかふきんで包み、二つに割ります。包丁で切るのではなく割ることで、ギザギザの切り口からだしが染み込みやすくなり、食感に変化もつきます。銘々の器に入れておきます。

3)蒸したじゃがいもにだしを注ぐ

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こういう手軽なスープですから、鰹だしも簡単に。ポットでお茶をいれるように、だしをとります。鰹節をポットに投入、ひとつまみの塩を加え、熱々のお湯を注いで1分ほど待ち、器にいれたじゃがいもに注ぎます。

4)お好みで粗塩を

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最後に、塩をパラリと振ります。最初から鰹だしに味をパーフェクトにつけてしまうより、だしは薄めにしておいて、上に塩をトッピングしたほうが、味にムラが出て食べ飽きないのです。また、個人の好みや体調に合わせて、塩気を調節することもできます。すぐに溶けてしまわないよう、粗塩をおすすめします。

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香りを味わうには、掘りたてフレッシュ、皮ごと蒸して食べることが肝心! 最後の一口に鰹節をぱらりの追い鰹でさらに香りが増す。

久松農園
http://hisamatsufarm.com/

●定期便はSサイズ2000円、Mサイズ2500円、Lサイズ3000円(送料別)。単発のお試しセットもあり。そのほかにんじんジュース、トマトジュースも人気。トマトジュースは、旨味の強いクッキング用の品種を使い、農園で一番おいしい時期の完熟トマトだけでつくる。注文はインターネットのみ。電話やファックスの受付はしていない。

プロフィール
有賀薫(ありが・かおる)
受験生だった息子の朝食にスープを作りはじめたことをきっかけに、365日毎朝のスープをSNSに投稿。旬の野菜を使ったシンプルなレシピが反響を呼び、書籍化に。「スープ・レッスン」(プレジデント社)に続いて、『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(分響社)などのレシピ本を手掛け、ライター業から転身。スープ作家として、実験イベント「スープ・ラボ」のほか、テレビや雑誌などで活躍の場を広げている。
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