はじめてのエシカルQ&A

数字でわかる食品ロス
食品ロスは世界でどのくらいあると思いますか?

食料生産量に対して

  • 3分の1
  • 4分の1
  • 5分の1

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ぱくたそ(www.pakutaso.com)

答えは「世界の生産量の3分の1」です!

答えは「世界の生産量の3分の1」です!毎年13億トンの食料が捨てられています(2011年、FAO:国際連合食糧農業機関の報告「世界の食料ロスと食料廃棄」による)。作った食べ物の、なんと3分の1も捨ててしまっています。

「働き方」が問われる昨今。
こんなに捨てるのなら、最初から作らなければ、
働く人は、ずっとずっとラクだったのではないでしょうか。

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消費期限の手前の「販売期限」で棚から撤去され廃棄されるコンビニの弁当類(コンビニオーナー提供)。

働く人だけではありません。
牛や豚や鶏、魚の命も失われずに済みました。
そして、生き物やお米を育てている生産者の方々の苦労も。
農産物から食べ物を作る人たちや、それを運ぶ人たち、
売る人たちの努力は、ぜんぶ、無駄になってしまいました。
電気やガス、水道など、エネルギーもです。

こんな生活を続けていると、地球が1つでは足りないそうです。
世界の人口は、2050年までに、90億人を超えて100億人に近づきます。
食べ物が足りません。飢えや栄養不足で苦しむ人は約8億人、5歳未満の発育阻害のこどもたちは約1.5億人います。(国連「世界の食料安全保障と栄養の現状」2017による)正確に言うと、食べ物は足りているのに、必要なところへ配分されていないのです。

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青年海外協力隊の食品加工隊員として活動していた筆者。フィリピンの村で野菜の摂取を増やすため、栄養価の高いモロヘイヤを刻み、現地の人が好む揚げ春巻きの中に入れる調理方法を指導している(協力隊関係者撮影)。

ある大学生が、食品ロスのことについて、同級生に一生懸命、減らす必要性を話したそうです。
でも、まったく伝わらない。
同級生は「食品ロスが増えようが減ろうが関係ない。日本の食品ロスを減らしても飢えている国が助かるわけではない」と答えたそうです。

大学生は、私に「どうやって説明すればわかってもらえるのでしょう?」と聞いてきました。

私は「地球をひとつの家だと考えたらどうですか」と伝えました。
もし、地球がひとつの家で、みんなが家族だったら。
食べ物に困っている家族がいれば、余っている食べ物は、分けてあげるでしょう。

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フィリピン・シキホール島で作る豚の丸焼き、レチョン(筆者撮影)。

世界は広く、食べ物を運ぶには時間とお金がかかるので、そう簡単にことはうまく運びません。
でも、ある家族が大量に食べ物を捨てているのに、別の家族が飢えている、というのは、1つの家だと考えると、どう考えてもおかしな話です。

食べ物は、本当は、地球が生み出したものです。
食べ物は、命の恵みです。
地球で暮らしているみんなで、分け合って、食べていくものです。

地球をひとつの家だと考えれば、闘いも起こらないはずです。

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プロフィール
井出留美(いで・るみ)
食品ロス問題ジャーナリスト。2016年の国会議員向け講演会をきっかけに食品ロス削減推進法の成立に貢献。『賞味期限のウソ』(5刷)ほか著書多数。第二回食生活ジャーナリスト大賞(食文化部門)/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。
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