2019年12月13日

カーボンフットプリントって知ってる?

環境コンサルタント 荒井里沙

年々、気候に関するニュースが増える中「カーボンフットプリント」というキーワードが浮上しています。スウェーデンの若き環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんのニュースでこの言葉を知った人も多いのでは?このカーボンフットプリントって何? 食とどんなつながりがあるの? をリサが解説します。

Lisa_carbon4.jpgPhoto by Alex wong on Unsplash

「気候変動」は遠い国のシロクマの問題ではなくて

今年の夏は、異様に暑かったですね。季節外れの大雨や激しい熱波など、日本だけでなく、世界でも気象が変わってきているといいます。これは突発的な異常ではなく、これからは恒常的に起こってくる現象だといわれています。いわゆる「気候変動」と呼ばれる現象です。

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Photo by Alto Crew on Unsplash

気候変動と聞くと、なんだか遠い国のシロクマや小さい島国が思い浮かぶかもしれませんが、私たちの日々の食や暮らしとも密接に関係しているのです。

農作物でいうと、カリフラワーやりんご、小麦などが、気温上昇やそれに伴う干ばつや洪水などの影響で収穫に大きな影響が出ていると言います。
毎朝欠かせないって人も多いコーヒーも、数年内には飲めなくなってしまうかもしれません。ブラジルなどのコーヒー豆の生産地が、だんだん生産に適さない気候になってきているそうです。少なくとも60%にあたる流通品種が絶滅の危機に瀕しているという研究もあります。

おいしいものが食べられなくなるのは、いやですよね。私もいやです。

どうやら気候変動の原因らしい温室効果ガスですが、なかなか捉えどころがありません。「減らした方がいいのはわかるけど、そもそもどれぐらいのスケールの話かよくわかんないんだよね 」。
そんな時にぴったり、私たちが日々出してしまうCO2を始めとした温室効果ガスを、具体的な数字で表してくれるものがあります。WWFのカーボンフットプリント測定ツールです。

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ところで「カーボンフットプリント」って何?

カーボンは「炭素」、フットプリントは「足跡」を意味し、「人間活動が(温室効果ガスの排出によって)地球環境を踏みつけた足跡」という比喩からきています。
定義としては、「個人や団体、企業などが生活・活動していく上で排出されるCO2などの温室効果ガスの出所を調べて把握すること 」とされています。

具体的な数字をみてみましょう。日本全体では年間約12億トンのCO2が排出(2017年度)されています。
年間約4.5tが各世帯から発生し(国立環境研究所, 日本国温室効果ガスインベントリ報告書 (2019) )、うち約半分が冷蔵庫やエアコンなどの電力使用に由来しています。

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Photo by Xan Griffin on Unsplash

誰か一人の、1年間のカーボンフットプリントとなると、上記のような家庭でのCO2排出だけでなく、移動や外食などで発生する分も含まれることになります。
こうした目に見えないCO2をカーボンフットプリントとして数値化し、生活のどの部分でどれだけ出されていることを把握することは、温室効果ガスの排出量を減らしていくための指標になる、というわけです。

実際に、イギリスでは2007年からCarbon Trust社により商品のカーボンフットプリントのラベル表示が行われています(Carbon Trust, "Product Footprint Certification", )。2013年時点では28,000もの商品が展開され、グリーンな消費を好む消費者の商品購入時の選択基準の一つとなっているそうです。

わたしのカーボンフットプリントは?

移動方法や暮らし方などのアンケートに答えれば、最後に自分のカーボンフットプリントが出てくる仕組みのこのツール。

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こんな風に選択式の設問に答えていくだけ。けっこう簡単!


さて、出ました。わたくしの結果は・・・。

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「17.8t」。う~む!
ゴールデンウィークに南米旅行をしたのが主な原因で、2020年のUK目標「10.5t」を余裕で超えてしまっています。まったくダメな結果です。

しかし、どんな測り方をしているんでしょうか。測定のメソッドを読んでみると、「飛行機による移動」のインパクトがかなり大きいようです。

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この話題でグレタ・トゥーンベリさんのことを思い出す人も多いのではないでしょうか。気候変動対策デモを始めたスウェーデンの16歳の少女、グレタさんは、9月の国連のイベントに出席するため、母国からニューヨークまでヨットで渡航しました。  

ええ、ヨット!?

想像の斜め上を行く移動手段に、つい驚いてしまいますよね。でも、CO2の排出や気候変動に対する彼女の危機感を考えると、なるほど納得がいきます。
とはいえ、そのへんの一般人はヨットにばかり乗っていられないのが実情です。そんな私たちには、WWFでは最後の砦としてカーボン・オフセットを推奨しています。

カーボン・オフセットで、なかったことに?  

「カーボン・オフセット」というのは、温室効果ガスを排出してしまうかわりに、植林やクリーンエネルギー事業など温室効果ガスの削減活動に投資することなどで排出される分を埋め合わせるという考え方です。(参考・出典:四国カーボン・オフセット市場, http://www.shikoku-carbonoffset.jp/faq.html

自分が出した分を他のCO2吸収量を当て込んで「なかったことにする」ってどうなのよ、っていう議論もありますが、少しでも環境負荷を抑える、一つの方法だと思います。

気候変動に関する世界の動きとして、2015年には、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が締結されました。国際社会での関心の高まりもあり、地球温暖化の原因とされる温室効果ガス排出をどう減らすかが重要視されてきています。
気温が変わると、生物にも直接的に影響があります。農作物や海産物の取れ高や育成場所も、昔と比べて大きく変わってきているといいます。私たちの食にも関わる問題なんですね。

しかし、このカーボンフットプリントとかカーボン・オフセットとかいう「カーボンなんちゃら」論、何度読んでも頭に入ってこないのが玉に傷。複雑で、よくわからない。だから、二酸化炭素も気候変動も、遠い世界の話のように感じてしまいます。
実は、私たちの暮らしにとっても近い話題なのに。

だからこそ、このカーボンフットプリント界隈の話が、みんながもっとわかりやすいように、参加しやすいように整備していくことが大事だと、つくづく思います。

そのなかで健闘している、WWFの取組み。まずは、お試しで測定してみては?

プロフィール
荒井里沙(あらい・りさ)
株式会社サティスファクトリー所属の環境コンサルタント。食に興味があり、こだわって作られた食材や美味しい料理には目がない。食と社会課題を結びつけるイベントや、サステナブルレストラン協会の日本事務局などの運営に携わる。趣味は旅とフラメンコ。
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