2020年3月 1日

知っておきたい5つのこと【パルミジャーノ・レッジャーノ 前編】

チーズプロフェッショナル 佐野嘉彦

「せっかく買ったのに、いつの間にか冷蔵庫で"ミイラ化"しちゃって、捨てるはめに...」チーズでそんな食品ロスをしてしまった経験はありませんか。

「おいしいチーズを余すところなく食べて、MOTTAINAIをなくそう!」そんな想いをこめた連載が、この【なくそう!チーズの食品ロス】。日本でも比較的なじみのあるチーズを、毎回テーマに取り上げてお伝えしていきます。

第1弾のテーマは「パルミジャーノ・レッジャーノ」。知っているようで知らない(今さら聞けない?)ことや保存術について、まずはお答えします。

Q1. 粉チーズのパルメザンとパルミジャーノって違うんですか?

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スーパーやコンビニなどで市販されている筒に入った「パルメザン」。そのほとんどは、「パルミジャーノ・レッジャーノ」を模してつくられたチーズを粉状にしたものになりますので、"似て非なるもの"といえるでしょう。

パルミジャーノ・レッジャーノは、イタリアの原産地名称保護(D.O.P.)のチーズ。「パルメザン(Parmesan)」ということばは、パルミジャーノの英語表記名でもあり、少なくともEU圏内では模倣・類似チーズにこの名称を使うことは禁止されています。

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削りたてのパルミジャーノ・レッジャーノは、フワーッと濃醇なミルクの香りが立ち上ってきます...はい、この"おいしい体験"は一度味わうと、あなたをトリコにします、きっと。パルミジャーノ・レッジャーノは、長熟のチーズで日持ちもするので、初心者でも常備しやすいチーズです。

Q2. 削る以外の食べ方もあるんでしょうか?

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天然のうま味調味料のように、"かつおぶし感覚"でいろいろな料理に使えるパルミジャーノ・レッジャーノですが、カットの仕方で、また違った表情を見せてくれます。

小さめの包丁の刃先を縦に入れて、ちょっとひねるようにすると、"かち割り氷"のようなゴロッとしたカットができます。これにバルサミコを垂らすだけで、おつまみに変身!赤ワインはもちろん、日本酒やビール、さらにウイスキーや焼酎などの蒸留酒とも合います。

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スライサーやピーラーをお持ちの方は、ぜひ薄削りの食べ方も。粉状にグレーターで削ったものと比べると、食感がアップ。でも"かち割り"よりも、さらっとした口どけになるので、サラダやステーキのトッピングには、薄削りがおすすめです。

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さらに、チーズツウが知るおすすめの食べ方を【パルミジャーノ・レッジャーノ 後編】でご紹介しますので、そちらもお楽しみに。

Q3. パルミジャーノに白い粒がたくさんあるのですが、カビでしょうか?

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試しに、キッチンペーパーなどで拭ってみてください。拭い取れるようでしたらカビの可能性が高いですが、パルミジャーノ・レッジャーノのような長期熟成のチーズの生地の中に現れている「白い粒」はおそらくカビではありません。

チーズの生地の中に斑点のようにある「白い粒」の正体は、アミノ酸の結晶。熟成中にタンパク質が分解されて、チロシンというものが結晶化します。

チーズのおいしさはいろいろな風味のバランスが大事なので、このチロシンの結晶が多ければ多いほどおいしいというわけではないのですが、噛むとジャリっとした独特の食感もあって、とてもおいしく感じるポイントのひとつといえるでしょう。

Q4. 保存のコツやポイントを教えてください。

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パルミジャーノ・レッジャーノのようなハードチーズは、現地では常温で置いておくのが通例。でも、高温多湿で"冷蔵庫信奉"が基本の日本では、なかなかそうはなかなかいかないというのもわかります。

冷蔵庫で保存する場合でも、数日内に食べるなら、ラップでそのまま包むのが基本。なるべく空気が入らないようにラップをチーズに密着させるのがポイントです。さらに、冷蔵庫はにおい移りがしやすいので、ラップで密着させたものを密閉袋や容器に入れるのもひとつの方法です。

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とはいえ、カットされた表面はどんどん酸化していきますし、ラップ特有のにおいもつきますので、早めに食べきるに越したことはありません。そして、おいしく食べるコツは、まず常温に戻すこと!さらに、におい移りが気になるときは、表面を少しこそいで削ると解消されることがあります。

ちなみに、冷凍保存はおすすめできません。冷凍してしまうと、解凍したときに水分と共にうま味成分などが抜けてしまうおそれがあり、本来の食感やおいしさが損なわれてしまいます。

Q5. 保存していたら、水滴やカビがついてしまって...

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冷蔵庫で保存していると、チーズの表面が蒸れたり、濡れたりすることも。早いうちにその変化に気づいて対処することが、チーズを長持ちさせる秘訣です。水滴はカビの原因となりますので、キッチンペーパーなどで拭き取り、新しいラップなどで包み直しましょう。

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表面にポツポツとカビが生えてしまった場合は、カビとその周囲をまずはナイフや包丁で削り落とします。さらに、少しチーズをカットしてみて、もし内部にもカビが生えてしまっている場合は、残念ですが食べるのは諦めましょう。

ナチュラルチーズは日々変化していくので、早めに食べきるのが原則ですが、長期熟成のハードチーズであるパルミジャーノ・レッジャーノは、保存のコツやおいしい食べ方を知っておけば、賞味期限だけに頼らず、楽しめるチーズです。

【パルミジャーノ・レッジャーノ 後編】では、3つの"食べきり術"をご紹介。あの硬い皮の部分まで使ったおいしい料理も登場します。

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プロフィール
佐野嘉彦(さの・よしひこ)
ニューヨーク発祥のレストラン評価ガイド『ZAGAT』日本版の編集マネージャー、ワインスクールでの講師、料理通信社での勤務、チーズに特化したWebマガジンの編集長を経て、現在「sembrar(センブラール)」を屋号とし、食を中心とした情報発信を行っている。NPO法人チーズプロフェッショナル協会・関東支部幹事、Guilde Club Japon認定コンパニョン・ド・サントュギュゾン。著書に『ツウになる!チーズの教本』(秀和システム)があり、『イタリアチーズ通信講座』(Vino Hayashi)の監修も手がける。
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